アラスカのLNG開発は最終的に国民負担に
石破首相は首脳会談で日本の対米投資を「1兆ドル(約150兆円)に引き上げる」と約束してトランプ大統領を喜ばせた。日本の対米投資残高は7833億ドル(2023年末)。1兆ドルにするにはざっと34兆円(2167億ドル)の新規投資が必要だ。 「それは民間がやることですからね。政府があれこれ言って、もっと投資しろとかいう問題ではないんだが」 帰国後にそう説明したが、この投資も民間企業だけではなく、「国民負担」になる可能性が高い。元日本証券新聞社長で経済ジャーナリストの天野秀夫氏が指摘する。 「民間投資であれば税金投入は必要ないはずだが、果たしてそうか。首相が大統領に約束した以上、政府は企業の対米投資を後押ししなければならない。そのためには投資減税や政府系金融機関による融資や保証といった支援の方法があるが、近年は政府が税金で基金をつくり、それを使って企業に投資を促す方法がとられている。 トランプ氏が求めているアラスカのLNGの日米共同開発などにも日本政府が“アラスカ・ガス開発基金”などをつくり、民間企業とともに政府も直接資金を投じる可能性がある」 アラスカでの日米共同開発の約束についてはトランプ大統領が共同会見ではっきり言及した。 「日本がまもなく記録的な量のアメリカ産のLNGの輸入を新たに開始すると発表できることを嬉しく思う。アラスカの石油とガスに関し、日米の間で何らかの共同事業を行なうことについて話していて、非常に興奮している」 石破首相が「1兆ドル」と大見得を切った以上、トランプ大統領がこれから「早く1兆ドルまで増やせ」と圧力をかけてくることは間違いない。