再浮上する「石破さんでは無理」の声
南米ペルーとブラジルでそれぞれ開催されたAPEC首脳会議やG20サミットから帰国した石破首相。その成果は、及第点どころか「大失態」レベルのものだったと筆者は思う。
与野党の論戦が本格化する臨時国会の前に石破首相を待ち受けていたのは、「重要な外交の場でスマホばっかり見ている」、「各国首脳と座ったままで握手している」、「おにぎりの食べ方が汚い」といった辛辣な日本国民の声であった。
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「こういう細かい点まで非難されるようになると政権はもたない。国会答弁で『未曾有』を『みぞうゆう』、『踏襲』を『ふしゅう』と読んだとか、高級ホテルのバーで飲んでばかりいるとか、政策とは別の部分で批判された麻生政権の末期と同じ」(旧安倍派衆議院議員)
筆者は、石破政権の命運について、来年3月の来年度予算成立時期がヤマ場になると見ている。もっとも、政策通で人柄も良い石破首相本人に著しい問題があるわけではない。
ただ、自民党内で「石破さんでは来年夏の参議院選挙は戦えない」との声が拡がり、頼りにしていた国民世論からも見放されつつある状況、そして何より、アメリカで来年1月、トランプ政権が誕生し、国際情勢の劇的変化が予想される現状においては、むしろ、石破政権がまだ4か月も存続することのほうが国益に反すると思うのである。
救いは、「103万円の壁」をめぐる動きや玉木代表の不倫問題で注目を集める国民民主党に比べ、最大野党、立憲民主党の影が薄いこと、第2野党、日本維新の会が代表選挙を前に、大阪組と東京組との間で溝が大きくなっていること、そして与党の公明党が、斉藤鉄夫新代表の下、党内再建を優先させていることくらいだ。