会社を退職した場合で、再就職しない場合や再就職までの期間が1日以上空くのであれば、国民年金への切り替え手続きが必要です。会社員や公務員などであれば厚生年金に加入しているため、国民年金第2号被保険者です。しかし退職することで、第2号被保険者から第1号被保険者に切り替えとなるため手続きが必要となります。
また、国民年金第2号被保険者に扶養している配偶者がいる状態で退職した場合、再就職せず、また再就職までの期間が1日以上空くのであれば、扶養している配偶者も第3号被保険者から第1号被保険者に切り替えとなるため手続きが必要です。
厚生年金から外れる手続きは退職前の会社がしてくれますが、国民年金への切り替え手続きは本人が行わなければなりません。手続きする場所は、自分が住んでいる住所地の市区役所や町村役場です。切り替え手続きの期限は退職日の翌日から14日以内であり、基礎年金番号通知書または年金手帳などの基礎年金番号を明らかにできる書類を準備する必要があります。
厚生年金から国民年金への切り替え手続きを忘れてしまうと、65歳以降に受け取れる年金額が減少するだけではなく、受給資格期間を満たさなければ将来の年金が受給できなくなってしまいます。なお老齢基礎年金の受給資格期間は、保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算して10年以上必要です。
国民年金保険料の未納期間の時期や長さによっては、被保険者が死亡した際に遺族が受け取れる遺族基礎年金や、障害状態になった際に受給できる障害基礎年金にも影響してしまいます。
また国民年金保険料の納付期限は2年間で時効となっており、2年を過ぎてしまうとさかのぼって納付できなくなります。なお保険料の未納者に対しては催告状や督促状を送付するなどの取り組みも強化されています。
厚生年金から国民年金への切り替え手続きを忘れていた場合、未加入に気付くきっかけとして2つ紹介します。
1つ目は「ねんきん定期便」です。ねんきん定期便は自身の年金記録が記載されており、毎年誕生月に送付されます。またねんきん定期便だけではなく、「ねんきんネット」に登録しておくことでインターネットを通じて好きなときに納付状況を確認することも可能です。
2つ目は「催告状」です。厚生年金から脱退すると、その情報が勤務先から年金事務所に届けられます。本来は自身で退職後に手続きをしなければなりませんが、手続きを忘れていても国民年金加入のお知らせが届くことになります。
また国民年金の手続きを行っていなければ未納状態が続くため、電話や催告状の通知などが届くため、そこで手続きしていないことに気付くでしょう。
もし未納状態を放置していると催告状から督促状、財産の差し押さえまで進んでしまうことがあります。必ず催告状が来た時点で加入手続きするようにしましょう。
退職した後に国民年金の手続きは忘れてしまいがちです。しかし未加入に気付くきっかけがあります。未加入に気付いた時点で加入手続きを行って未納分も支払えば、受給資格期間が足りなくなることや、受給額が減ることもありません。退職後はすぐに手続きをすることを忘れないようにしましょう。
日本年金機構 会社を退職した時の国民年金の手続き
日本年金機構 国民年金に加入するための手続き
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 国民年金保険料の延滞金
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士