祝日とは、日本の法律で定められた休日のことで、正式には「国民の祝日」といいます。「国民の祝日に関する法律(通称:祝日法)」で「国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日」として定められています。学校、行政機関、企業などがお休みになり、簡単に言うとカレンダーで赤くなっている日が祝日です。祝日と一緒になりやすい祭日との違いはをご覧ください。
2024年現在、日本の国民の祝日は16個あります。
2024年の祝日一覧 祝日 日付年のはじめを祝う
明治~昭和前期までは、元日に行われる皇室行事にちなんで「四方節」と呼ばれる祝日でした。
元日の早朝、天皇陛下が伊勢神宮と天地・四方の八百万の神々に向かって年災消滅・五穀豊穣の祈りを捧げる宮中祭祀「四方拝」が名前の由来です四方節は法令などで公的に定められていた祝祭日ではなく「新しい年の始まりの日だから」という古くからの慣習による休日扱いでした。1948年(昭和23年)の祝日法の制定時に「元日」と名前を変え、公的な祝日として制定されました。
「元日」と一緒にされやすい「元旦」は、「旦」の字に「朝、日の出」の意味があることから本来「元日の朝」のことを言いますが、現在では朝に限らずこの日一日を指す言葉として定着しつつあります。
1月3日までを「正月三が日」と呼び、官公庁や多くの企業がお休みになります。忙しい現代は「お正月=三が日まで」と考える人が多いかもしれませんが、昔は1月全体を正月と呼び、人日の節句、小正月、鏡開きなど年中行事が目白押し。お正月ムードは1ヵ月続きました。
成人の日(1月第2月曜日)おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます
戦後の1946年、敗戦後の日本の復興を担う若者を励まそうと行われた「成年式」が名を変えて広まり、1948年に国民の祝日に制定されました。豪雪地帯などを除いて、各市町村で成人式が開催されます。
2000年のハッピーマンデー制度の適用まで、成人の日は1月15日と決められていました。この日は「小正月」にあたる日であり、日本では古来、男子が成人を迎える儀式「元服」を小正月に行っていたことに由来します。
小正月について、詳しくはこちら 1月15日の小正月とは?ハッピーマンデー制度とは
国民の祝日の一部をそれまでの固定日から特定週の月曜日に移動させる制度。
週休二日制の普及に伴って、土・日・祝と繋がる3連休以上の休日を増やす目的で2000年から施行されました。
建国記念の日(政令で定める日※現在は2月11日)建国をしのび、国を愛する心を養う
「日本書紀」の中で、日本の創始者で初代天皇とされる神武天皇が即位したと伝わる日を現在の暦に換算しています。
しかし法律では日付を「政令で定める日」としています。2月11日と言い切らないのは、今後新たな解釈によって日付を変更する可能性があるからかもしれません。(2月11日に日付が決まるまでにも相当議論されました)
さらに詳しくはこちら 2月11日の建国記念の日とは? 天皇誕生日(2月23日)天皇の誕生を祝う
昔は天皇誕生日を「天長節」、皇后誕生日を「地久節(ちきゅうせつ)」と呼んでいました。「天地が永遠であるように、ものごとがいつまでも続くこと」という意味の「天長地久」という四字熟語が由来です。
過去の天皇誕生日
明治:11月3日
大正:8月31日
昭和:4月29日
平成:12月23日
春分の日(毎年3月20日頃)自然をたたえ、生物をいつくしむ
太陽の中心が黄経0度の地点(春分点)を通過する日と決められており、毎年3月20日か21日になります。毎年2月に翌年の春分の日が官報で公表されます。
太陽が真東から昇り真西に沈んでいく日で、昼と夜の時間がほぼ同じになり、この日を境に昼の時間が徐々に延びていきます。
この日がなぜ祝日になっているかというと、祝日法が施行される以前から「春季皇霊祭(しゅんきこうれいさい)」という祭日でお休みだったからです。古くからこの日は、天皇陛下が歴代の天皇や皇族方の神霊をお祀りする春季皇霊祭が執り行われます。
春分の日を挟んだ前後3日間が春のお彼岸です。
春分の日について、詳しくはこちら 春分の日(春のお彼岸)とは? 昭和の日(4月29日)激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす
この日はもともと昭和天皇の誕生日で、これまで3回名前が変わった祝日です。
昭和の前半では「天長節(~1948年)」その後「天皇誕生日(1948~1988年)」に呼び方が変わります。昭和天皇崩御後は天皇誕生日が12月23日に変わりましたが、
GWを構成する祝日の一つとして残したい
昭和天皇は植物に造詣が深く自然を愛していた
などの理由で「みどりの日(1989~2006年)」に名前が変わりました。さらに2007年に今の「昭和の日」と名前を変え、みどりの日は5月4日に移動になりました。
憲法記念日(5月3日)日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する
日本国憲法が1946年11月3日に公布され、翌年の5月3日に施行されたことを記念した祝日です。
日本国憲法の3つの柱は「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」です。
みどりの日(5月4日)自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ
前のの箇所でも述べたとおり、もとは4月29日だった祝日です。GWは新緑の季節であり、日本が緑豊かな国であること、昭和天皇が自然を愛していたことから「みどりの日」が生まれました。2007年の祝日法改正で4月29日が昭和の日になったことで、みどりの日は5月4日に移動になりました。
みどりの日になる前の5月4日は、前後を「憲法記念日」と「こどもの日」に挟まれた「国民の休日」でした。
「国民の休日」とは?
「国民の祝日に関する法律(祝日法)」の第3条3項には「国民の休日」というものが定義されています。
祝日と祝日に挟まれた平日は休日となり、これを「国民の休日」と呼びます。国民の休日は、祝日のように何かをお祝いしたり感謝する意味はない「普通の休日」です。
2007年の祝日法改正でみどりの日になるまで、5月4日は「国民の休日」でした。
例えば、「敬老の日」は9月第3月曜日と定められていて、年によって9月15~21日の間を移動します。そしてその後の「秋分の日」は毎年9月22、23日にあたります。そのため数年に一度、敬老の日と春分の日に挟まれた国民の休日が生まれることがあります。
ちなみに、いわゆる「振替休日」については第3条2項で定義されていて、国民の祝日が日曜日に当たる時、その日の後の最も近い平日を休日とするとされています。
こどもの日(5月5日)こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する
「成人の日」と同じようにこれからの時代を担う子供たちを祝う日を、ということで祝日法の制定当初から設けられています。子供たちが大きくなったことをお祝いし、これからも元気に育つことを願う祝日です。お母さんに感謝する日でもあることを忘れずに。
この日は五節句の1つ「端午の節句」でもあります。
端午の節句について、詳しくはこちら 5月5日の端午の節句とは? 海の日(7月第3月曜日)海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う
1996年に新たに施行された「海の日」は、7月20日と日付が決められていた祝日で、祝日になる前は「海の記念日」として親しまれていました。2003年のハッピーマンデー制度適用により、7月の第3月曜日に変わりました。
「海の日」を国民の祝日としているのは、世界の中でも日本だけなんだとか。
明治天皇が東北巡幸から優秀船・明治丸を使って横浜に帰港した日 山の日(8月11日)山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する
「海の日があるならば山の日も」ということで、2016年より始まった新しい祝日です。日付にはっきりとした由来はなく、多くの人たちがお盆休みと繋げやすいという理由でこの日に決まりました。
敬老の日(9月第3月曜日)多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う
2003年までは9月15日と日付が決められていた祝日で、これまでに名前が2回変わっています。
そもそも敬老の日の始まりは旧兵庫県多可郡野間谷村で提唱された「としよりの日」で、1947年9月15日に行われた敬老会が起源とされています。この「としよりの日」が次第に全国に広まっていき、その後1963年に老人福祉法で9月15日を「老人の日」と制定。1966年に「敬老の日」の名前で国民の祝日に仲間入りしました。そして2003年からハッピーマンデー制度の適用で、現在の9月第3月曜日に移動になりました。
秋分の日(毎年9月23日頃)祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ
太陽の中心が黄経180度の地点(秋分点)を通過する日と決められており、毎年9月22日か23日になります。毎年2月に翌年の秋分の日が官報で公表されます。
太陽が真東から昇り真西に沈んでいく日で、昼と夜の時間がほぼ同じになり、この日を境に夜の時間が徐々に延びていきます。
春分の日と同様、1947年までは「秋季皇霊祭(しゅうきこうれいさい)」と呼ばれる祭日で、この日宮中では秋季皇霊祭が執り行われます。
秋分の日を挟んだ前後3日間が秋のお彼岸です。
秋分の日について、詳しくはこちら 秋分の日(秋のお彼岸)とは? スポーツの日(10月第2月曜日)スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う
1964年東京オリンピックの開会式が行われたことから、10月10日は「体育の日」として1966年に国民の祝日に仲間入りしました。その後2000年にハッピーマンデー制度の適用で現在の10月第2月曜日に移動になり、2020年に「スポーツの日」に名前が変わりました。
「体育」から「スポーツ」へ名前を変えたのは、教育的なイメージのある「体育」よりも「スポーツ」の方が自発的に楽しむ要素を感じさせる、と時代の流れに合わせたことが理由です。
文化の日(11月3日)自由と平和を愛し、文化をすすめる
11月3日は明治天皇の誕生日で、祝日法の制定前から「明治節」いう名でもともと祝日でした。そして11月3日は1946年に日本国憲法が公布された日です。憲法では戦争放棄が宣言されており、国際的にも文化的意義を持つ重要な日であることから、この日は「文化の日」として祝日法制定当初から設けられています。
この日皇居では文化勲章の授与式が行われ、文化庁主催の芸術祭など様々な文化的行事が開催されます。
勤労感謝の日(11月23日)勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう
この日は古くから「新嘗祭(にいなめさい)」という宮中祭祀が行われる日です。新嘗祭とは天皇陛下がその年の新穀を神にお供えし感謝を述べ、自らも新穀をいただく儀式です。新嘗祭は収穫を感謝し、来年の五穀豊穣を祈願する祭事で、宮中だけでなく全国の神社でも行われます。
祝日法制定時に「勤労感謝の日」と名前を変え、制定時の資料でこの「感謝」は「すべての人がすべての生産と働きとに感謝し合うもの」と説明されています。
新嘗祭は、こちらの記事でも紹介しています 神嘗祭とは? 祭日とは?祝日との違い祭日は、神社や皇室などで祭典や宗教儀式が行われる日のことです。明治時代は「年中祭日祝日ノ休暇日ヲ定ム」という勅令、大正・昭和の時代は「休日ニ関スル件」という勅令によって、祝日と祭日(休日)が定められていました。
勅令・・・天皇・国王などの君主が直接発する命令や法令この頃の勅令では
皇室の祭典が行われる日…祭日
国や国民のお祝いの日…祝日
という分類でした。
しかし戦後1947年5月3日に日本国憲法が施行されると、新憲法の趣旨に基づいてこれまでの祝祭日についても再検討するべきとなりました。
そうして1948年(昭和23年)「国民の祝日に関する法律(祝日法)」が施行されると、同時に「休日ニ関スル件」は廃止、「祭日」はカレンダーから姿を消し、「祝日」だけになってしまいました。(前述の「新嘗祭」のように祭日から祝日に変わった日もあります)
日本国憲法の趣旨に則り「他ならぬ国民の祝い日である」という考えから祝日に一本化し、単に「祝日」ではなく「”国民の”祝日」という3文字を加えました。
過去の祝祭日一覧以下は過去に存在していた祝祭日です。1873年(明治6年)の「年中祭日祝日ノ休暇日ヲ定ム」制定以降たびたび改正が行われ、後に追加・廃止になった日も含めて日付順で並べています。
【祝日】(四方節):1月1日法令で定められてはおらず、慣習による祝日扱い
新年宴会:1月5日
紀元節:2月11日
天長節:4月29日(昭和天皇誕生日)
天長節:8月31日(大正天皇誕生日)
天長節祝日:10月31日大正天皇誕生日が暑い時期のため、2か月後のこの日も祝日とし、祭祀はこの日に行った
天長節/明治節:11月3日(明治天皇誕生日)
【祭日】元始祭:1月3日
孝明天皇祭:1月30日
春季皇霊祭:春分日
神武天皇祭:4月3日
明治天皇祭:7月30日
神嘗祭:9月17日 → 10月17日に移行
秋季皇霊祭:秋分日
新嘗祭:11月23日
大正天皇祭:12月25日